「生協(生活協同組合)」とは、農協(農業協同組合)や漁協(漁業協同組合)などの「協同組合」の一つで「生協法(消費生活協同組合法)」に基づき設立された組織です。
利用者一人ひとりが出資金を出して組合員となり、意思決定や運営に参画して、事業や活動を通してよりよいくらしを実現することをめざしています。生協法において生協の事業は「組合員のくらしに奉仕するものでなければならず、営利目的に事業を行ってはならない」、生協の組合員は「経済的・文化的なメリットを享受する権利と、生協の運営に参画する権利を持つ」とされています。
医療生協は、地域の人々が、それぞれの健康・医療とくらしにかかわる問題をもちより、つくられた共同組織です。
『いざという時に安心して利用できる医療・福祉を』という願いから、自分たちが主人公として利用し、運営に参加できる医療や福祉の事業所をつくってきました。
また、病気を治すことだけではなく、病気について学習した地域住民と医療・福祉の専門スタッフが対等に協力しあい、日常的な健康づくり、安心して暮らせるまちづくりに取り組んでいます。
名称 | 鹿児島医療生活協同組合 |
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設立 | 1974年2月1日(知事認可) |
組合員数 | 14万1,730人 |
班数 | 2,787班 |
出資金 | 21億9,869万円 |
事業収益 | 125億9,831万円(2021年度) |
定款 | 定款 |
1974年2月1日に鹿児島医療生活協同組合は設立されました。当時、医療は専門家が行う特別なもので「医師が決めた治療に従う」のが当然という状況のなか、「患者の自己決定権」などとは無縁の時代でした。自分や家族のいのちと健康を守るため、いつでも安心してみてもらえる医療機関がほしいという地域の人々の願いから鹿児島医療生協は生まれました。
当時の設立趣意書には、「医療生協とは、“ひとりがみんなのために、みんながひとりのために”の精神のもとみんなが知恵と力とお金(出資金)を出し合い、それを基金として病院(診療所)などをつくり、これをみんなの平等な発言によって運営するものです。」との一節があります。設立時は三和町にあった南地区診療所(現 鴨池生協クリニック)1カ所でしたが、1975年には鹿児島医療生協・鹿児島民医連の中心施設となる市民病院(現 鹿児島生協病院)が建設され、その後も病院・診療所などがあちこちに誕生しました。現在は3つの病院と8つ診療所(1歯科診を含む)に加え、訪問看護ステーションや訪問介護ステーション、訪問入浴や通所リハビリ等の多くの医療・福祉事業を運営するまでになり、設立時650人ほどだった組合員数も現在では13万人を超えています。組合員さん方は、医療・介護事業とは別に、健康づくりの学習や活動、まちづくり活動や平和の取り組みなど、いのちと暮らしを守るさまざまな活動を職員とともに旺盛に取り組んでいます。
いのちに差があってはいけない。私たちは“健康で文化的な最低限の生活を営む権利”を有しており(日本国憲法25条)、“個人として尊重され、命、自由、幸福を追求する権利”を有しています(同13条)。現在、国がすすめている「地域医療構想」や「地域包括ケアシステム」は、社会保障費抑制・自己責任の名のもと、これら本来あるべき権利が蹂躙されるよう制度になりかねません。私たちは医療や介護に携わっている多くの方々と、そこで生活するさまざまな方々と協力しながら、「平和で格差のない、安心して住み続けられるまちづくり」をすすめていきたいと考えています。また最大の健康障害、環境破壊である戦争には断固反対し、社会保障制度改善運動とともに平和を守る運動にも尽力していく所存です。
今後とも鹿児島医療生協の事業活動、組合員活動、社会運動にご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。
2020年3月23日
理事長 駿河保彰